歩き遍路の四国八十八ヶ所 88 大窪寺
四国八十八ヶ所八十八番札所は大窪寺様です。八十七番札所から歩くと約5時間です。お寺まで至るルートは2つあります。
一方は昔からの遍路道を行くルートで距離はありますが比較的なだらかな上りの道です。山門から境内に入ります。
もう一方は新しく設けられたルートで女体山という標高740mの山を登ります。途中に岩登りが控えていますので距離は前者より短いですが厳しいルートです。こちらは下りてくるといきなりお寺の境内に入ります。お寺までの下り道には奥の院の胎蔵峯寺があります。無人の仏堂で、御本尊は阿弥陀如来様です。御真言は「おん あみりたていせい からうん」ですね。大窪寺様の納経所で納経印を頂けます。
どちらを選ぶかはご自身の体力と相談して下さい。因みに、比較的後者を選ぶ方が多いようです。
八十七番札所を出て暫く歩くとだんだんと登り道になります。どちらのルートでも、やがて前山ダムが見えます。ダムを過ぎると道の駅ながおがあります。その向かい、ダム湖に前山おへんろ交流サロンがあります。是非立ち寄って「八十八ヶ所を歩いて回りました。今日で終わります。」と告げて下さい。遍路大使任命証とバッジが頂けます。頂いたバッジは輪袈裟か、さんや袋に付けると良いでしょう。歩き遍路の勲章です。因みに、自転車で回っても頂けます。歩きは赤、自転車は青のバッジです。付けていると知っている人には「歩かれたんですね。」と注目して頂けます。
写真には柴燈護摩の大祭を載せました。春分の日と山の日の年2回、催行されます。山中にあるお寺なので山岳修験のお寺であることを窺い知ることが出来ます。
真言宗単立のお寺で、御本尊は薬師如来様です。このお寺の御本尊は秘仏ですが法螺貝をお持ちになっているそうです。そういった意味合いからも修験道と深い繋がりがあります。御真言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」ですね。
これで結願(けちがん)です。仏教では結は”けち”と読む場合が多いです。結縁も”けちえん”と読みます。西国三十三所などの霊場は全ての札所を参拝し終えることを満願と言いますが、四国八十八ヶ所では結願です。願いが全ての仏様と結ばれたと言うことですね。このお寺で申し出ると2000円で結願証明書を頂けますよ。おめでとうございます、これであなたは1200kmもの距離を踏破しました。さんや袋にはよく同行二人(どうぎょうににん)と書かれています。これは、決して一人で歩いているのではなく常に弘法大師が傍に付いていて下さると言うことです。こうして無事に結願出来たことを弘法大師に感謝しましょう。そしてご家族やご友人、ご先祖様に感謝しましょう。
八十七番札所前を朝出発すると昼過ぎには到着します。ここから先、あなたはどうしますか?
人によって随分と違うようです。一周する人もおられれば、そのまま13時30分発か15時51分にお寺の前から志度行きのバスに乗って帰る人もおられるようです。
一周する場合は一番札所まで戻ります。このお寺からは2泊3日の道のりです。東かがわ市まで出て大坂峠を越えるルートと、徳島県阿波市に出て十番札所近くから一番札所に向けて逆打ちをするルートの2つがあります。因みに私は東かがわ市ルートを歩きました。見慣れた風景よりも讃岐の端っこから阿波に入ることでなるべく大きく回りたかったからです。
いずれのルートもこのお寺を出た先の宿の確保が難しいです。のんびり歩いて、八十八番札所の門前にある八十窪で41日目の夜を迎えるのも良いでしょう。こちらの宿では夕食には結願のお祝いに赤飯が出ます。名物の大女将さん、お話しが面白いですよ。
東かがわ市ルートを進むのでしたら、与田寺様にお参りしましょう。四国八十八ヶ所総奥の院です。厄除けで有名なお寺で正月などはかなり賑わうようです。御本尊は薬師如来様です。
一周した場合、一番札所まで戻ると懐かしさを覚えることと思います。涙を流す方もいらっしゃいます。納経所で歩いて一周したと告げて下さい。運が良ければお茶とお茶菓子でお祝いして頂けますよ。
概ね標準的な日数で書きました。45日から50日を費やす人もおられれば、速い人で28日と言うのを聞いたこともあります。長い距離を歩くのです、無理をして体を壊して途中棄権してしまうのは残念なことです。常にご自身の体と相談しながら弘法大師にお助け頂き無事の結願をなさって下さい。
あなうれし行くも帰るもとどまるも我は大師と二人連れなり
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